DIY初心者でもできる!基本の壁の作り方ガイド

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1. はじめに

近年、DIYやセルフリノベーションを行う方が増えています。特に、広い部屋を用途に合わせて区切りたいときや、新たに収納スペースを作りたいときに壁(間仕切り壁)を作ることがあります。プロの大工やリフォーム業者に頼まずとも、自分で計画的に進めれば思い通りの空間を作り上げることが可能です。

ただし、壁を作る作業は安全面や正確性が求められます。構造を理解し、正しい手順で進めることが成功のカギです。この記事では、木材を使った一般的な間仕切り壁の施工手順を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。


2. 間仕切り壁に必要な材料と道具

2-1. 必要な材料

  1. フレーム材(スタッド)
    • (スタッド:壁の骨組みに使用する縦方向の木材。ツーバイフォー工法なら2×4材など、在来工法の場合は45×45mmや45×60mmなどの角材を使うことが多い)
  2. プラスターボード
    • (プラスターボード:石膏を芯にした内装下地材。壁の表面下地に使われる)
    • 一般的には12.5mm厚が多用されます。防音や断熱性能を高めたい場合は、専用ボードやロックウール(断熱材)をあわせて検討するとよいでしょう。
  3. ビス(ネジ類)
    • 木材を使う場合は木ネジ、プラスターボードを留めるにはボードビス(石膏ボード専用ネジ)を使います。
    • 使用箇所によって長さやネジピッチを使い分けるのがポイントです。
  4. 断熱材(必要に応じて)
    • 部屋を仕切るにあたり、防音性や断熱性を高めたい場合はグラスウール(ガラス繊維でできた断熱材)やロックウール(鉱物系の断熱材)をスタッド間に充填します。
  5. テープ類やコーキング材(必要に応じて)
    • すき間を埋めたり、下地同士の接合部を処理するために用いることがあります。

2-2. 必要な道具

  1. メジャー墨つぼチョークライン
    • (墨つぼ:基準線を引く道具。チョークラインやレーザー墨出し器を使うこともある)
    • 床や天井に基準線(墨)を正確に引くために必須です。
  2. 差し金スコヤ
    • (差し金:直角を測るためのL字定規。スコヤはより小型の直角定規)
    • 木材の切り出し部分の直角を正確に測るために使います。
  3. 丸ノコのこぎりジグソー(必要に応じて)
    • フレーム材やボードを所定の寸法にカットします。
    • 軽量鉄骨用のハサミ(エアバサミなど)があると、ランナーやスタッドをカットしやすいです。
  4. インパクトドライバー(またはドリルドライバー)
    • ビス留め作業には必須。下地や材質によってトルク調整を行いましょう。
  5. 水平器(レベル)
    • (水平器:気泡やデジタル表示を使って、水平・垂直を確認する道具)
    • フレームをまっすぐ垂直に立てるために使います。
  6. 脚立(きゃたつ)作業台
    • 天井周りの作業やボードの固定時に必要です。安全性を考慮して安定した脚立を使いましょう。
  7. 保護具
    • 保護メガネ防塵マスク手袋耳栓など。特に石膏ボードを切る際は粉塵が舞いやすいのでマスクが必須です。

3. 施工手順

3-1. 設計・レイアウト

まずはどこにどんな大きさの壁を作るのかを明確にし、以下を検討しましょう。

  • 仕切る壁の長さ・高さ
  • 開口部(ドアなど)の有無
  • 電気配線・コンセントの位置
  • 既存の壁や柱との取り合い(干渉しないか、強度を損なわないか)

この段階で、簡単なスケッチ施工図を描いておくと、寸法取りがスムーズになります。

3-2. 墨出し(床と天井への基準線引き)

設計が決まったら、床と天井に仕切り壁を設置する位置を正確にマーキングします。

  • メジャーやチョークラインを使い、壁の中心線を引く。
  • 壁の厚みを想定して、スタッドが来る位置とボードの厚みまで把握しておく。
  • 天井と床のずれがないか、垂直がとれるように確認する。

床・天井の下地構造がどうなっているかも確認し、ビスが効く場所なのか下地補強が必要なのかをチェックしておきます。

3-3. フレーム(下地)組み

  1. **床側と天井側に固定する材(ランナー材)**を取り付ける
    • (ランナー材:軽量鉄骨の場合はランナーと呼ぶが、木材の場合でも上下に固定する横材をここでは便宜上ランナー材と呼びます)
    • 墨出ししたラインに合わせて、木ネジコンクリートビス(床がコンクリートの場合)でしっかり固定します。
    • 下地があればその位置に固定し、根太(ねだ:床板を支える横木)や天井の下地材の位置を確認しながら留めていきましょう。
  2. **スタッド(縦方向の骨組み)**を立てる
    • 実測した高さに合わせてスタッドを数mm余裕を持たせてカットします。
    • 水平器を使って垂直を確認しながらランナー材にビス留めします。端から順番に留めていくのがポイント。
    • スタッドの間隔は一般的に455mmピッチ(プラスターボードの幅910mmの半分)で配置すると効率良くボードを張れます。
  3. 補強や開口部の枠をつける
    • ドアや窓をつけたい場合は、開口部の枠材を組みます。開口上部にはまぐさ(補強のための横材)を入れると強度が増します。

3-4. 配線・配管などの下準備

フレームを立てた段階で、電気配線や配管を通したい場合はスタッドやランナーに穴を開けてケーブルを通しておきます。

  • コンセントボックスを設置する場合は、スタッドにビス留めして固定。
  • 壁が完成してから配線を引くのは大変なので、この段階で済ませましょう。


3-5. 石膏ボード(プラスターボード)の取り付け

  1. ボードを寸法に合わせてカット
    • 壁の高さに合わせて、プラスターボードを数mm短めにカットします。
    • カッターやジグソーでカットできますが、石膏ボードは粉塵が出やすいのでマスクと保護メガネを着用しましょう。
  2. スタッドへビス留め
    • ボードビス(石膏ボード専用ネジ)を使います。
    • ビスピッチは一般的に150〜200mm間隔で打ちますが、周辺部(端部)はより細かく留めるとしっかり固定できます。
    • ビス頭はボード表面より1mm程度沈むくらいに打つのが理想。打ちすぎて紙面を破らないように注意しましょう。
  3. 反対側の面も同様に貼る
    • 両面の壁を貼る場合、片面を貼り終えたら内部に断熱材などを入れ, その後もう片面を貼ります。
    • 電気配線や配管を入れている場合は最終チェックをしてから閉じましょう。


3-6. 仕上げ

  1. ジョイント部分のパテ処理
    • ボード同士のつなぎ目に**パテ(ボード用充填剤)**を埋め、ジョイントテープを貼ります。
    • 乾燥後、パテを重ね塗りし、表面を平滑に整えます。
  2. ビス頭のパテ処理
    • ビス頭にもパテを塗り込み、表面を平らに。**砂紙(サンドペーパー)**で軽く研磨するときれいに仕上がります。
  3. 塗装またはクロス貼り
    • 石膏ボードの表面処理が終わったら、塗装や壁紙(クロス)を貼ります。
    • 防汚クロス耐水性のあるクロスなど、部屋の用途に合わせて選びましょう。
  4. 巾木(はばき)や回り縁(まわりぶち)の取り付け
    • (巾木:床と壁の取り合い部分に取り付ける部材)
    • (回り縁:天井と壁の取り合い部分に取り付ける化粧材)
    • これらを設置することで見た目がきれいになり、壁の端部を保護できます。


4. 注意点・ポイント

  1. 構造に関わる壁は触らない
    • 耐力壁(たいりょくへき:建物の構造を支える壁)や重要な柱を勝手に抜いたり変更したりするのは危険です。事前に建築士や専門家に相談しましょう。
  2. 天井の高さにバラつきがある場合
    • 古い家屋だと床や天井が水平でないことがあります。一番低いところに合わせてスタッドをカットし、上部にすき間ができるようなら埋木(うめき)やパテ化粧カバーで処理します。
  3. 防音対策
    • 音漏れを防ぎたい場合は、スタッド間にグラスウールやロックウールを充填し、床や天井との隙間を防音パッキンでふさぐなど工夫しましょう。
  4. 火災やカビ対策
    • 湿気の多い場所(浴室やキッチン近くなど)では、防水処理防カビ性のあるボードを使うとよいです。
    • 電気配線の通し方は防火の観点からも重要。VVFケーブルなど、規格に合ったものを使用します。
  5. 安全第一
    • 高所作業重量物(ボードなど)の持ち運びには十分注意し、一人での作業は避けると安全です。

5. あると便利な補足アイテム

  1. レーザー墨出し器
    • 床と天井で正確な位置合わせができるので、作業効率と精度がアップします。
  2. 石膏ボード用カッター
    • 普通のカッターでも切れますが、刃が厚めで折れにくい専用カッターがあると作業しやすいです。
  3. スタッド探知機
    • 既存の壁に対して下地の位置を確認するのに便利。配線の位置や配管を誤って傷つけるリスクを減らせます。

6. まとめ

部屋を仕切る壁のDIYは、正確な寸法と安全対策が鍵となります。木材や軽量鉄骨を使ったフレームづくりから石膏ボードの貼り付け、仕上げのパテ処理やクロス貼りまで、一連の流れを理解しておくことで、仕上がりに大きな差が出ます。

  • 計画時にしっかり寸法と配置をイメージする
  • 墨出しで正確な基準線を作る
  • フレーム組みでは垂直・水平をこまめに確認
  • ボード貼りはビスピッチと沈み加減を注意
  • 仕上げのパテ処理やクロス貼りで美観アップ

これらを踏まえて進めれば、初心者でも見栄えがよく、機能性も高い壁を作ることが可能です。もし構造上の不安や大規模な変更を検討している場合は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
セルフリノベで新たに作った壁には、家族のライフスタイル趣味が反映されるはずです。ぜひ、安全に気を配りながら楽しんで作業を進めてみてください!

ABOUT ME
ナカジ大工
ナカジ大工
DIYサポート
長野在住の大工です。 古民家を生かす選択を。 職人が減っていくこれから、DIY人口を増やしていきたい!
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